そんな風に義理の萌え妹とイチャラブな荏月を、若干羨ましいなとか思いつつ。

(今なら隙だらけ…流石のヤン男も油断しているようだな)

静寂は隠密よろしく忍び寄る。

抜き足、差し足、忍びあ…。

(ん?)

そこまでやりかけて、静寂は視線に気づく。

こちらを見ている大狼の姿。

遡雫の親友、柿ピー。

おとなしいしあんまり吠えたりもしないのでスルーされがちだが、柿ピーは狼である。

肉食獣、猛獣、肉大好き、人間だって食べるよ(はぁと)。

ベロリと舌なめずりする柿ピー。

「あ…」

静寂、バッチリ目が合う。

あれ、やばくね?

これって踊り食いフラグ立ってね?

(逃げろっ!)

素早く踵を返し、猛ダッシュする静寂。

吐血しながら彼が柿ピーから何とか逃げおおせたのは、一時間後の事であった。