『なっちゃんのバカ!大っっ嫌い!!』


そう叫んで、オレの前からいなくなった幼なじみ。


オレは、何をしているんだ?

オレは、何であいつを泣かせる?

オレは、あいつが、モモが好きだ。

でも、オレの想いは虚しく、あいつには届いてない。
っていうか、意識されてない。

たまにオレを見て赤くなるが、それはオレがモモを見つめすぎてるからだろう。


「大嫌い、か………。」


言われたこと、ねーよな。

今まで、大嫌いなんて聞いたことねぇ。

わかっている。
悪いのはオレ。

どうしても素直になれない。

嫌われて当然なんだ。









オレが一人、悩んでいると、


「那月くん!」


甘ったるい女の声が聞こえた。

見ると、クラスの橘香奈(タチバナ カナ)とかいうやつがいた。


「えーっと、橘?だっけ?」


「きゃっ!名前覚えててくれたんだぁ!」



そりゃな。

学校一の美人とかいう噂だし。

あ、モモは、学校一可愛いって噂だぜ。さすがだ。



………は、おいといて。

改めてよく見ると、モモほどではないが、けっこう整った顔をしている。