12月24日。
またの名を極寒のクリスマスイブ。

すれ違う人達の浮かれようが癇に触る。

冬特有のカサカサした空気が肌に引っ掛かって痛痒い。





「待ったか?」

漸く絞りだした、といった感じで彼は言う。

「ううん、大丈夫」

私の肩の震えに気付く筈もない。



吐く息は白いのに、彼は少しも寒そうには見えない。

かといって暖かそうにも思えない。

凍え過ぎて、寒さという概念自体を子供時代に捨ててしまったんだろう。

そんな彼の首にはらりと巻き付いたマフラーは、絶対必要ないものだ。