「そして暇つぶしにお父上を監禁する永久遺伝の怪物たちが」
セラは熱くなる瞼を片手で抑えた。
一滴ずつ零れ落ちる涙は頬を伝い、父の記録へと染みる。
ルークは書物を彼女の手から奪い去り、そして一番最後のページを開いた。
「起きろよ囚人」
冷たく話しかけて、やがてニヤリと笑うと彼は再び書物をセラの手に渡した。
一番最後のページ。
それは白い紙の真ん中に正方形が黒く塗りつぶされているだけのように思えた。
だが、よく見ると違う。
黒の四角に、うっすらと灰色の線が縦に引かれている。
さらに目をこらすと、その灰色のラインの向こうに背中を向けて座り込んだ人間の姿が見えた。
灰色は鉄格子である。


