やがて廻廊は行き止まりになる。
袋小路の最後は、長方形の壁に大きな双頭の鳥が雄大に翼を広げている絵であった。
ルークは、その鳥が首にかける白く彩られた飾りに手を翳した。
首飾りの大きさは、ちょうど広げた手のひらがすっぽり収まるくらいある。
体重をかけてそれを押せば、唸るような轟音がして足元に砂煙が立つ。
「下がってください」
促されて後退すれば、壁画の鳥に割れ目が入った。
縦に割れたそれは、やがて悲鳴のように高い音をたてて観音開きに壁が開いた。
「息子に鎖を付けてまで守りたい物が、この奥にある」
新たに開いた扉の先を眺めながらルークは誰にともなく語りかける。


