古城のカラス




ランタンを持ち、ホムラが先導する。


「此方です」



風がまた通りすぎる。


塞がったこの壁の向こう、いったい何処へ抜けるというのか。


スタスタと歩き出した二人の後を追いながら、セラは壁の上部にある燭台を眺めた。


細かな装飾がなされた燭台は新品さながらに綺麗な金色で、しかし彫り込まれた鳥の刻が時代物を感じさせる。


まるで造られた当時にタイムトリップしたかのような。



途中、壁の煉瓦が途切れて古代壁画が繰り広げられていたり、かと思えば中世の甲冑と剣が飾られていたり、かと思えば見たことのない珍獣の剥製があったりと、一本道の廻廊は狭いくせにいろんなものが詰まっている。



「これは、代々ご当主様に引き継がれている品です」



感心を奪われているらしいセラに、ホムラが説明を加えた。



「ロードの所持と比べれば少ないが、泥棒に入られてもおかしくない品ばかりだ。

金本位と歴史的な価値を合わせれば値段はつけられない」


「すごいんですね」



曖昧な返答をする。

彼女にクスリと笑って、ルークは燭台に触れた。



「皆、王家から抹殺された物ばかりだ」