やがて地下への箱がピタリと止まり、震動に耐えられなかったセラはバランスを崩して前のめりに倒れた。
床に手をつく前に肩を掴まれる。
「ホムラ、灯りを」
「はい」
カチャカチャと音がする。
ホムラは手探りで定位置に常備されているランタンを取りだし、火をつけた。
ほんのりと甘い匂いがして、淡いオレンジ色の灯りに空間が満たされる。
三名が立ち尽くしていたのは、苔を広げた古くさい煉瓦の空間で、三面が高い高い壁で囲まれている。
一面、ちょうどルークの頭の高さくらいの通路が通っており、生暖かい風がそよいだ。
まるで誰かの吐息のように。
身震いして、鳥肌が立った自分の腕を抱く。
暗く閉ざされた空間の向こう側にあるのが、得体の知れない獣のような気がして怖さを感じた。


