「あまりホムラをからかわないで欲しいな」


ティーカップに口を付けて、ルークは不機嫌そうに言った。


「からかってはいない、ただ彼の成長ぶりを見たかったんだ、俺も火使いになって長いが自分で生命体を造ったのはアレが初めてなんでね」


「それにあんだけ嫌われてるなんて哀れだな」


「いやいや、主人に忠実で結構。
盲目的に主人を正義とし、排他に迷い無くてこそ優秀な部下だ」


「それ、おまえんち(騎士団)の基準だろ」


「いいや、我が家の基準だ。」


「あの犬、そんなに気に入ったのか」


「そういう問題じゃない」



ジンが言葉を切ったのは、紅茶で喉を潤すためだ。


一か月分の人間用食物を運び込んだついでに、紅茶の茶葉も勝手に持ち込んだこの男。


頼んでない、と断っても、きっと無理に置いていくことだろう。