やがて、セラは水音に気付いて足を止める。 その休息を待ちわびていたかのように、足は迷うことなく地についた。 視界の先には、蒼く広がる月明かりに照らされた、海みたく広い泉。 それが泉とわかるのは、遠く離れた水面の先に僅かに対岸が見えるから。 光の源を辿った先の丸い月は、セラを嘲笑うかのように歪な模様を浮かべている。 麗しき美人の横顔さえも道化のマリオネットに見えてならなかった。