「あの、因みにここは?」
「うーん…ボクんち?」
「それはわかったけれど…」
個人の自宅を「ここどこ?」と訊かれても答えにくいものだ。
ホムラは腕組みをしながらうーんと唸っている。
「おねえさんが何処の人かは知らないから何とも言えないけれど、とりあえず昨夜の泉からは結構離れたところだよ。
国からして違うからね」
「泉?」
「ああ、昨夜のことは覚えてる?」
意識がハッキリしてきたおかげで泉に入った場面くらいは明確に思い出せた。
そのあとに、例の冷淡な男が現れたくらいは。
「そっか。
ここはね、その人のおうちだよ」
「えっ」
あの、死ぬなら他でやれ、泉が汚れるだろう発言をした男のである。
「じゃあホムラさんのお父さんって…」
「その人だよ。
そしてホムラね、ホムラ」


