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宵闇が先ゆく道を飲み込んでいった。

セラはただ走る。

在りもしない追っ手から逃れるために、息を切らせながらただ走った。


喉の奥はすでにひゅーひゅーと鳴り、足は今にでも転びそうなほど重たい。


まるで枷だ。


鉄の鎖がついているような幻想を繰り広げ、耳の奥では鎖が金属音を鳴らして引き摺られる音さえした。


それなのに、セラは足を止められなかった。