***** 宵闇が先ゆく道を飲み込んでいった。 セラはただ走る。 在りもしない追っ手から逃れるために、息を切らせながらただ走った。 喉の奥はすでにひゅーひゅーと鳴り、足は今にでも転びそうなほど重たい。 まるで枷だ。 鉄の鎖がついているような幻想を繰り広げ、耳の奥では鎖が金属音を鳴らして引き摺られる音さえした。 それなのに、セラは足を止められなかった。