「…わ!小澤!」
「ん〜…」
閉じてた重い瞼をあげる。
まだ焦点が合わなくて、白い世界に人の影。
「俺の授業で居眠りとは、上等だよ」
「げっ!って、雅ちゃん!?」
「げっ、じゃねえよ。てか、雅ちゃんじゃねえ。先生をつけろ、先生を」
持ってた教科書で私の頭をたたく。
大塚雅、高校教師。
私の隣のクラスの担任で、世間で言うイケメンってやつ。
そして、雅ちゃんに恋してる私、小澤葉月、高校1年生。
入学式から約半年。ずっと雅ちゃんに想いを寄せている。
「痛ーい!女の子を教科書でたたくなんて教師!?」
「寝てるお前が悪い。俺の授業を邪魔した罰だ。放課後に残れよ」
「え〜」
クスクスと周りの人たちが笑う。
恥ずかしいなあー…。