殺されたがり

それでも彼は人だった。

仲間がほしい。

認められたい。

もっと知ってほしい。

笑いたい。

彼は普通に人ならば望むことを普通に望んだ。

だが彼はまた賢いのでそれらがいくら望んでも手に入らない事を知っていた。

いつしか彼は死にたいと願うようになった。

そこには死への憧れと、この世の自分が消えることで発生するメリットがあった。

無神論者で死後はないと考える彼にとって死は恐れるものではなく生物に必ず訪れる現象でしかない。

ただ彼は普通に親も嫌いなわけではなかったので迷惑はかけたくなかった。

死ぬならば致し方ない状況で死にたい。

彼はそう考えた。

彼は考えた、どうやったら迷惑をかけずに事故に見せかけて自殺できるか。

そして彼はひらめいた。

殺されればいいのだと。

自殺志願者ではなく他殺志願者それが彼だった。