彼は言った。

『人は自分だけの椅子を探すために生きている。』

ある人は何の変哲もない木の椅子かもしれない。

またある人はふかふかのソファーかもしれない。

【居場所】という名の椅子を探して生きているのだと言った。

いくつもの椅子に座ってあれでもない、これでもないと探すのだと。

彼は自分自身の椅子がどこにあるのか知っていた。

探したりはした事ないが知っていると言った。

自分の椅子がこの世の何処にもない事を知っていると…。