berry cute

そう思うと自分の影のうすさにため息が出た。



いつのまにか太陽も沈んで暗くなっている。



「ん、じゃあね。」



「あ、さよならっ。」



梶山先輩は手をふって帰っていった。



何だったの?



かなり不思議な人。



「龍之介……帰ろっか。」


あたしは龍之介を連れて、早々と家に帰る。



ほんと、何だったんだろ。



こんな影のうすいあたしに声かけてくれる人って、何か企んでたりするんだよね……。



「ただいまー。」



家に入ると、シチューの香りがふんわり。



今日、シチューなんだ。



好物に、あたしのテンションは上がる。



「未來おかえりっ。今日学校どうだった!?」



いつも決まって聞かれるこの言葉。



そしてあたしもいつものように まあまあだよ と答える。



「そっ!!今日ねママ、シチュー作ったんだけど、結構おいしくできたのよ〜。」



そう言いながらお母さんはシチューをパクリっとほおばる。



陽気で若くて可愛いお母さんは、昔からあたしのコンプレックスだった。



親はあんななのに…



そう言われるのが怖かった。



でもお母さんみたいになるなんて絶対無理。



あたしにはどう足掻いたって無理なんだ。



「んっおいしー。……ほら未來も食べな!!」



そう言われて、あたしも真似してパクリと食べた。



おいし……。



じゃがいもは角が取れて、すっと口のなかで溶ける。


にんじんは甘みがきゅっと引き出されるし。



豚肉の軽く噛んで切れるやわらかさもとってもおいしい。



「おいしくない!?」



おかわりいっぱいあるよ お母さんはそう言ってまた食事に戻った。