龍之介ぇー。



あたし、龍之介がいないとやっぱダメだなぁ。



いや、もう龍之介さえいてくれたなら友達なんていらな……



するり。



だきしめていたはずの龍之介はあたしをすり抜け、てくてくと別のところへ。



今せっかくドラマチックだったのにぃ!!



「……ん?」



龍之介は近くに座って寝ていた男の人の足に絡み付く。



むくっと起きあがるその人。



あっやば!



「すいませ……」



急いで謝ろうとすると、その人は龍之介を持ち上げた。



え?



あたしはただただびっくり。



「犬。誰の?」



いきなりこちらを振り向かれ、あたしはあわてて目をそらした。



暗い茶髪で整った顔立ちの、男子生徒らしい。



「え、あっあたしのです!!」



あたしは龍之介を引き離そうとするが、龍之介はしっかりとその男の人にしがみついている。



ちょっと!!龍之介!!



焦りで、思わず涙目になる。



「あんた、名前は?」



えっえぇえ!?



この状況で!?



でも初めて名前聞かれた!!



とまどいと喜びが混ざって、今自分でもどんな顔をしているのか分からない。



「あっ、笹上 未來です。」



「ささうえみらい?…ふぅん。俺は梶山 晃。」



かじやま……あき。



女の子みたいな名前。



あたしはちょっとほほえんだ。



「1年だよな?」



「はいっ。」



改めて見ると芸能人みたいにかっこいい。



たいそうモテるんだろうな…。



「そっか。俺2年だから。」



2年か……。



やっぱ年上。



まぁ今自己紹介したって今後、きっとあたしが関わるような人じゃない。