『みなさーん、下校時刻を過ぎました。速やかに下校してくださーい。』



下校のチャイムが鳴ったあと、入学してから3回目の放送が流れた。



あたしはぴかぴかの教科書をかばんにつめて、肩にひょいっとかける。



となりには一緒に帰る友達もいない。



小さい頃から人見知りのあたしはなかなか友達を作れないでいた。



周りにはもうグループができつつあるのに。



完全に乗り遅れたなぁ…



もしかしたらずっと友達いないままかも。



そう思うとため息しか出てこなかった。



高校デビューを図ろうとしたけど、何をすればいいのか分からず、結局中学の時と同じ。



中学もあんまり目立つ方じゃなかったし。



いつまでもださい自分にあたしはうんざりしていた。



ガララッ



スライドドアを開けると、外はきれいなオレンジ色に染まっている。



お腹も減ったし、早く帰ろ。



そう思ったときだった。



「わんっ」



いきなりそいつに飛びつかれ、あたしはしりもちをつく。



真っ白のそいつはあたしの顔をペロペロ舐めた。



「いったー……って龍之介!?」



ペットの龍之介。



隣の家のメリーちゃんの子供。



両親を一生懸命説得して、やっと飼えたあたしの一番の親友だった。



「えっ何で!?もしかして迎えに来てくれた!?」



そう言うと、龍之介は嬉しそうにしっぽを振る。



頭のいい龍之介のことだから、あたしが友達できてないのを分かってて…



自然と涙がこみあげてくる。



「うー龍之介ありがと!!」



あたしは龍之介をぎゅうっと抱きしめた。