(え、何でこいつが…)
「え、ちょ紅!誰そのイケメン!知り合い?!」
あたしが陸の目の前で停止してたら、後ろから杏が慌てた様子でこっちに駆け寄って来た。
「いや、知り合いじゃ―――……」
「そう。知り合い」
あたしが「知り合いじゃない」って言おうとしたのに、それを陸が言葉を遮って笑顔で杏に笑いかけてそう言った。
「何でアンタが女子棟の、しかもあたしの部屋に来てんの」
「いや、せっかく知り合いになっただろ。それに俺は知り合いじゃなくてもっと深い関係になろうと―――…」
「帰って」
何なのこいつ。
電車で会った時とまるで別人のようなんだけど。
電車の時は優しい口調だったのに昨日からは少しキツくなった。

