「ツンちゃんじゃないし」 「じゃあ、本当の名前は何なんだ?」 「紅」 「紅か。…俺は陸(りく)だ。宜しく」 そう言ってあたしに手を差し出してきた。 「何?」 「何って挨拶の握手だよ」 「無理。」 あたしは方向を散歩ではなく部屋へ帰ると言う選択肢にした。 あたしは陸に背を向けて歩き出した。 その時、あたしの後ろで陸が不敵に笑ったのにあたしは気付かなかった。