でもそのときに気づいたんだ。


家族の崩壊までの出来事を間近で見ていた私は、『人を信じる』ということを忘れてしまったと。


私のことを気遣ってくれて、優しくしてくれるあこおばさんさえも信じていない自分がいたから。


いくらあこおばさんの言葉が信じきれなくても、身の回りなことを面倒見てくれることには感謝していた。


疑うわけでもなく、利用しているわけでもなく、ただ信じることができないだけ。


帰りが遅いあこおばさんはろくに料理をしなかったから、毎日カップ麺とかコンビニのお弁当を自分で買って食べる日々だったけど満足だった。