「まぁせいぜい陸に夏空ちゃん奪られないようにしろよー。」



棗がそう言った後、HR開始のチャイムが鳴った。



棗はチャイムを聞いて自分の席へ向かっていった。



夏空を…奪られる…



正直、そんなの絶対イヤだ。



でも陸との『約束』が俺を踏み留まらせる。



まだ夏空と陸が付き合ったわけではないけど、両想いなわけだし。



あの『約束』はどちらかが夏空とうまくいったらその2人の邪魔をしてはいけないという意味でもあるんだ。



そしてそれは裏を返すとうまくいった2人の幸せを願えという意味でもある…



だから俺は身を引くべきなんだ…――