久々に会った馨は俺の事なんか忘れていた。
ま、仕方ねーか・・・小さい頃の話しだし

クラスに入り馨に紹介して貰い俺は席に着く。
その途端、女子に囲まれた。

「ねぇねぇ、もしかして海斗君って帰国子女だったりして」

「彼女とか居るの?」

「海斗君ってカッコイイ!!」

「・・・・・・」

俺は心の中でため息をつきチラッと馨の方を見る。
馨はクラスの男子に囲まれていた。

(チッ・・・イラツクぜ)

そんな事を思っている間にも女子が質問してくる。
ここの女子・・・可愛くないな

「ねぇ、海斗君」

「うるさい・・・」

「え!?」

「黙ってくれないか?うるさいんだけど」

「あ・・・ごめん・・・」

そう言うと女子が離れていった。
やっと静かになったと思ったら今度は男子が来た。

「なぁ、転校生、これ奥奈に頼まれたんだが」

「何?」

「ここの教科書だ、持って無いだろ?」

「あぁ・・・助かる」

「お礼なら奥奈に言ってやれよ」

「分かった」

俺に教科書を渡すと男子はどこかへ行った。
それと入れ違いに馨が来た。

「あっ教科書届いたんだ」

「あぁ、感謝するぜ」

「別にいいよ、あのさ帰りに学校案内したいから残ってくれないか?」

「別に良いが」

「じゃ、決まりな!」

少し笑いながら馨が言う。
その姿にドキッとする。

「お~い、姫」

「姫って言うな!」

馨は少し怒った様子で俺から離れて行った。
帰りか・・・待ってやるか