「遥、理事長に何を頼まれてたの?」
森は、あたしのそんな反応を見て
確信したように、
聞いてきた。
「たいしたことじゃないから」
「たいしたことじゃないなら、そ
んなに反応する必要ないだろ?」
「そ、それは…ッッ」
森には、見透かされていた。
…………さすが、幼なじみ。
「遥。俺じゃ…頼りない?」
「そ、そんなことはッッ…」
うつむき加減だった顔を
あげたときだった。
…………今までに見たことが
ないくらい真剣な表情(カオ)をした
森が目の前にいた…。
………少しでも動けば、
キスしてしまいそうなほど
近くに、森の顔はあった。

