「だっ、抱きつく!?」思いもしなかった単語に思わず声が大きくなってしまう。




自慢じゃないけど色恋沙汰には無縁で生きてきたし、そんな大胆なこと死んでもできない。




「誤解ですよ。誰かに抱きつくなんて皆さんの前で恥ずかしいことしたことないし、そもそも知らない人間にそんなことやりようがないですよ。ほんっとに誰ですか?大空クンって!…ブチ。」…−ヤバい。




リーダーの否女子軍団全員の堪忍袋がふたたびキレるおとがした。




「ふざけんじゃねえ。大空クンはみんなのものなんだよ。協定もあるんだよ。それをあんたがわざとらしくつまずいてかばってもらってるところを、あたしらみたんだよ!」




きょ、協定!!なにそんな有名人なの。内心驚きつつマンガみたいなことあるんだなとか考えてる間も話は続く、




「だいたいあんた馴れ馴れしいんだよ。少し可愛いからって調子にのりやが「待って!」」




いい加減課題やらないとヤバいので申し訳ないが話を止める。




どうやらうちはみんなのものの大空クンに接触したらしい。そのことで先輩女子軍団はお怒りということか。



朝から鬼ごっこしていた理由はわかった。でも1つ納得がいかない。




「話をさえぎってごめんなさい。皆さんがお怒りの理由もわかりました。以後気をつけます。」




「わかってるなら最初からてぇだ「けれど、教えてください。……




「大空クンってホントに誰ですか?」





この言葉を聞いたその場にいたリーダー含めその他大勢が思った。




こいつ、冗談でも皮肉でも誤魔化しでもなく本当にしらないんだ。っと




そしてわたしは答えを聞いてふたたび母の言葉を思い出し、後悔した。




ほんと。青春は大事にしないとね。