転校生が来るという噂も
あたし達が付き合ったという噂と同じくらい校内に広まった。


噂では男の子らしい。


「どこの学年かな?」


あたしのクラスでは
いつもこの会話。


「百合ー。このクラスだといいね」

「うん。」


正直この学年に入るなんて
思わないし、ましてやこのクラスに入るわけない…。
そう思ってた。


帰り道。


いつも星也と拓海と帰る。


「転校生うちのクラスに来たら
いいのにな。」


拓海はテンションが半端なかった

「そうだな。」


星也はまるで興味すらない。


「でも男の子だし。」


あたしが代わりに返事した。


「まぁな。女だったらよかったけどな。」


この時からすでに女好きが
花開いてた拓海。


「それあんたは言わない方が
いいよ。」


「何だよ。俺だって彼女欲しい。」

「あっそ。」


あたしは呆れた。


「星也は転校生が男だったら困るよな?さっきも…
「お前言ったら殺す。」


拓海の言葉を星也が遮る。


「何なに?聴きたいー。」


「何でもないし。」


ほら。


また冷たいし。




「星也は転校生が男だとそっちに百合が目移りするんじゃないか心配してんのっ!!」


拓海は早口で言った。


「えっ…」


「別に心配なんてしてねーし。」


「素直になれよな。嫉妬してんの」

「してねー」


星也は拓海の頭を殴った。


でもね?


星也…顔真っ赤だよ?


初めて妬いてくれたやきもち


あたしには嬉しかったんだ。