バタバタバタ

誰か階段を登って来る

「亜美!」

「由里…」

「大丈夫なの?しっかりしなよ」

「私ね…」

由里の顔を見たとたん、
泣いてしまい由里がびっくりして私に駆け寄った

「原因は山本香織だね」

私はコクンと頷いた

「私が悪いの。凌を信じないから。それで凌が怒っちゃって。謝ればいいのに帰って行く凌を追わなくて…」

由里はウンウンと顔を縦に振り話を聞いている

「今日凌学校に来てた?」

「来てたよ。1人で。帰りにさ、亜美のこと聞こうとして廊下に出たらさ。また山本来ててさ…」

「私腹立って、『どういうこと?』って聞いたんだ。そしたら山本が話に入ってきて『凌先輩、亜美先輩と別れたんですか?』って」

「はあ?って感じでしょ。私本郷に『亜美泣かしたら許さないから』って睨んでやったよ」

こんなに私を心配してくれている

「とにかくさーこんなことで別れる2人じゃないんだから
ちゃんと電話して亜美が思っていること言いな」

「うん、わかってる。私が悪いんだから謝らないといけないことは…」

「本郷も気にしてるよ」

「うん」

「じゃ、私帰るよ。慎のうち行くから」

「由里ごめんね」

「何言ってんの。亜美と何年一緒にいると思ってんの。本郷より長くいるんだからね!なんかあったらすぐ連絡すること。わかった?」

「うん、わかったよ。ありがと」

「じゃあね」

由里は笑顔で私に手を振り坂下の所へ行ってしまった

今日も来てたんだ
本郷先輩から凌先輩に呼び方が変わっていた
そんな小さなことにさえ嫉妬してしまう。
会いたい、
凌に会いたい
左手の薬指の指輪を見つめソッと触った

「凌…」