やさしい手のひら・前編【完結】

「かわいそうな私としゃべってくれて、ありがと。じゃ、さようなら」 

私は涙を見られないように
たっぷり嫌み臭く言ってやった

みじめな自分にイライラする
坂下が来なかったらどうなっていたんだろ?
『好き』って言ってくれたのだろうか?

次から次と涙が頬を伝う

もう辞めよう

本郷を好きでいるのは…
あいつはかっこいいから彼女なんてすぐできるだろう

私とはやっぱり友達の方が釣り合っているんだ…

そういいながら空を見上げると、
とても綺麗な夕焼けで
見とれるほどのオレンジ色が広がっていて、
私の心を癒してくれた

さっきのことは何もないことで、
偶然に会って、
ただしゃべっただけ

私は自分で自分を納得させて家路に向かった