やさしい手のひら・前編【完結】

「何、突然?誰か私のこといいって言ってくれてる人いるのぉ?」

冗談半分で言ってしまった

「……」

本郷は黙り込んでしまった

「俺さ…」

そう言って本郷は私の目をみた
その目がすごくきれいで吸い込まれそうになる
真っ直ぐ私を見ている本郷と向かい合い、
私は勇気を持って言った

「俺さ…の次は何?はっきり言って!」

聞きたい、その言葉の続きを…これは期待していいの?

「おーい 凌!」

その時、後ろから男子の声が聞こえて、私達は振り向いた

「おまえら何やってんの?やらしい~~」

そう言ったのは本郷の友達、
坂下慎(サカシタ シン)だった

「別に!こいつ1人だったからよ~かわいそうだからしゃべってやったの~」

さっきまであんな真顔だったのに今はこんな言葉を言われた

ショックと自惚れが重なって、
私は涙腺がゆるんできた