教室に入り、先生の話も聞かず

さっき由里が言ったことを思い出していた

みんなこうやって大人になっていく
人それぞれ早い遅いはあるのだろうけど、
由里の『幸せだった』という言葉に後悔をしていないなら、
それでいいのだろうと思った
自分もいつか凌とそんな日が来ると思う
その日が来たら、私は由里のように『幸せ』と思えるのだろうか

いつの間にか先生がいなくなっていた

「亜美」

声が聞こえた入口の方へ振り向くと凌が立っていた

周りから

「えっー付き合ってんの?」

と、声が聞こえる

凌の耳に聞こえているのかわからないけど、
凌は私の机の前まで来ていた

「今日の帰り一緒に帰ろ。教室の前で待ってるから」

手を振り、それだけ言って、帰って行った

一部始終見ていた由里が

「本郷ったら、大胆だね~」

と、冷やかしながら笑っている

「超はずかしんだけど」

私は照れ隠しに下を見た

「いんじゃない。積極的で。亜美にはお似合いだよ。あのクールな本郷がねぇー」

「わかったから由里、もう言わないでぇ」


まだこの状況になれない私は周りの目が気になって仕方がなかった
一緒に居ればばれてしまうのはわかっているが
恋愛初心者の私にはキツい視線だった