教室へ戻ると凌が一人で待っていた

「おせぇ」

「ごめん。由里と話してた」

「こっち来て」

凌に言われて窓際に近づいた

凌は私の肩に手を回し

「卒業したな」

「うん。あっという間だったね」

「最後に亜美と同じクラスになれてよかった。俺、小学校の頃から亜美と同じクラスになりたかったんだよな」

「ほんと?私もそうだったよ」

「これからは違う学校になるんだな」

凌は大学ではなく専門学校に行くことになった

「寂しいけど同じ東京だしな」

「私のマンションの近くだしね」

凌は私がマンションを決めたあと、東京に行き私の所から歩いて20分ぐらいの所にマンションを借りた

「自転車なら10分で行き来できるんでしょ?」

「そう。近いだろ」

「じゃ、いつでも会えるね」

「でもやっぱ寂しいな。慎達みたく一緒に住めばよかったな…お金貯まったら、一緒に住もうな」

凌は私の方を見て、フッと笑った

明日はもうここを旅立つ

寂しい気持ちもあるけれど、期待に胸を膨らませ、私は明日生まれ育ったこの町から東京へ旅立つんだ