映画の主題歌を勝ち取ったBlacksはどんどん人気を得ていった

街中を歩いていても、Blacksの歌が流れている

そのたびに私は耳を押さえたい気分だった

もう聞きたくない

そう叫びたかった

忘れたいのに周りが私を忘れさせなかった


久しぶりに由里と買い物に出かけた

「亜美、ライブハウス行ってみない?」

「はあ?何しに?」

「なんとなく行きたい」

「うん、いいよ」

私と由里はあの日最後に健太と会った以来のライブハウスに来た

「こんにちわ」

久しぶりに会ったオーナーはどこも変わっていなかった

「元気だったかな?」

「はい」

「健太達のラストライブからだね、会っていないのわ」

「そうですね」

「亜美ちゃん、今更だけどね…」

オーナーが何かを考えながらゆっくりと私に話した

「あの日、健太は亜美ちゃんを追い掛けたんだよ」

「えっ?」

嘘。だってあの日、私と健太はここで別れてそれから一度も会っていない

「走って楽屋からここの会場まで来たんだが、みんなに止められたんだよ」

そんな…

「追い掛けてどうするつもりだ?って言われてね、東京には連れて行けないんだぞ、って言われて。諦めたんだよ」

「健太…」

私は胸がいっぱいになり、涙を堪えることができなくなった

「健太は今でもあの日のことを後悔しているかもしれない」

どうしてすれ違いばかりなんだろう。そんなに私と健太は結ばれてはいけないのか