目を瞑って涙が出ないようにしたけど、私の涙は私に逆らい、目尻から頬へと流れていく

「亜美、川崎さんのこと今すぐ忘れろとは言わない。ずっと傍にいる。俺は亜美を一人にしない。だからこれからもこの先もずっと一緒にいよう」

「凌」

健太は私を凌に頼んで東京へ行ってしまった。私と凌の幸せを望んで…

健太がそれを望んでいるのなら、私はその望みを叶えたい

「凌を…苦しめてごめんね」

私は声を出して泣いた。昨日からの思いを全部吐き出すかのように

「亜美、幸せになろう」

そう言って凌は強く抱き締めた

「いっぱい泣いて明日からは二人で笑って過ごそう」

凌はこんな私を大切にしてくれる。何度も凌を裏切ったのに凌は私を救ってくれる。ここにはもういない健太のことは忘れよう。凌のためにも忘れなきゃいけないんだ