「前の彼氏とはどう?」

「前に付き合ってくれてた時のように優しくしてくれます」

「そっか・・・人はね、出会いもあれば別れもあるわ。そうやって亜美ちゃんも大人になっていくのよ」

田村さんは私に微笑み、何度も『頑張って』と言ってくれた

「川崎くんには一応雑誌送っておくわ。見たくないだろうけどね」

そう言って田村さんは笑い

「また何かあったら連絡するわね。私と亜美ちゃんとの付き合いは別だからね」

そう言ってくれたので私は嬉しかった

「帰るけど送って行くわよ?」

「寄る所があるので大丈夫です」

「わかったわ。じゃあ、またね、亜美ちゃん。自分をあまり責めないようにね」

田村さんは手を振って帰って行った

一人になり、ゆっくりと雑誌を広げてみた

見た瞬間、涙がポロポロ落ちていく。健太の笑顔が眩しくて、そして私も幸せそうに笑っている。あの時、海でキスをした写真も載っていた。突然されて、恥ずかしくなって・・・どの写真を見ても私の手をしっかり握ってくれている。そんな手を離してしまった

後悔はしないと決めたのは自分なんだから、ちゃんと前へ進まないといけない。そう思い涙を拭き、雑誌を鞄に閉まって凌の家と向った


「入って」

どのくらい来ていないだろうか。久しぶりに凌の家に来た。部屋の中はあの頃と変わっていなくて、凌の匂いが鼻をツーンとさせる

「雑誌見せてよ」

「えっ、見せなくてもいいじゃん」

「もう隠すことないだろ。沖縄行ったのだって知ってるし」

「嫌な思いするかもしれない」

「散々見てきたし」

そう言って、凌は私から雑誌を受け取った