やさしい手のひら・前編【完結】

私の目を真っ直ぐ見て言った。そして健太が私を迎えに来た

「何やってんの?」

健太がこの不陰気が普通じゃないことに感づいた

「亜美先輩の彼氏さんですよね?この2人怪しいんです」

「お前、いい加減にすれや」

凌が彼女に怒鳴った

「亜美先輩じゃなくて、私を・・・見て下さい」

彼女は泣き出してしまった

「やってらんねぇ。別れるわ」

凌は鞄を持って教室を出ようとした時

「ちゃんと答えてやれよ」

健太が凌を引き止めた

「別れるのは勝手だけど、ちゃんと亜美への気持ち教えてやれよ」

私は健太の顔を見た。そんなこと言う必要なんてないんじゃないかと・・・

凌は下を向いたまま

「俺は誰と付き合っても亜美を忘れられない」

心臓が止まるかと思ったぐらい私は苦しかった

「ごめん」

「わかって・・・ました・・・」

彼女は泣きながら背中を向け走って行ってしまった

とても嫌な空気だけがここに残り私達3人は黙ってしまった

その空気を破ったのは健太だった

「俺はわかってたよ」

「えっ?」

「見てたらわかるじゃん。亜美を見る目は普通じゃねぇだろ」

健太から凌に目を移すと凌はまだ下を向いたままで、その姿がとても悲しそうに見えてしまった

「川崎さん、亜美を返して下さい」

凌は顔を上げ健太の目を見て言った