やさしい手のひら・前編【完結】

教室に戻り、私は眠たくなり机の上に顔を伏せ眠ってしまった

「亜美、起きろ」

「うん?」

「川崎さん来てる」

凌に声を掛けられ、入り口を見てみると健太が笑って私を見ていた。そして教室に入って来て

「何寝てんだよ」

「今、何時?」

周りを見てみるとみんな帰る支度をしていた

「もう下校の時間」

「私2時間も寝てたの?」

「昨日あんなに寝たのにな」

そう言って、私の頭を撫で

「俺、教室で待ってるわ」

「うん、遅くなったら帰ってていいよ」

「大丈夫だから気にすんな。ちゃんと仕事すんだぞ」

そう言って教室から出て行った。私達の会話を凌が聞いていたみたいで

「川崎さん優しいよな」

「うん」

他人から見ても健太の優しさはわかるのだろう

「凌も健太みたく優しくしてあげないとね」

「・・・仕事しよう」

凌は私の言ったことに答えてくれなかった

班行動のことを決めたりしているとあっという間に時間が過ぎ、5時半を回っていた

「今日はこの辺でいんじゃない?」

「うん、そうだね」

凌に言われ私は健太にメールをした

「凌先輩、来ちゃいました」

凌の彼女が教室の入り口に立っていた

「帰れって昨日も言ったよな」

冷たい視線でその子に言った

「亜美先輩いるから心配なんです」

昨日私が言ったことをぜんぜん分かってくれていないようだった

「昨日、私言ったよね。凌とはもう関係ないって。どうしてあんた達のことで私が出てくるの?」

凌は彼女を睨み

「亜美になんか言ったの?」

冷たい声で言ったので彼女はびっくりしていた

「凌先輩はいつも亜美先輩を目で追っています。私と付き合ってくれるって言ったのに、私じゃなく亜美先輩を見てます」

「見てねぇよ」

「見てます。自分で気付いてないんです」

私はここにいたら邪魔だと思い

「健太来るから帰るね」

彼女の横を通り過ぎようとした時

「亜美先輩は凌先輩のことどう思っているんですか」