やさしい手のひら・前編【完結】

言葉で表せないほど綺麗な海で、ここのホテルが人気なのもよくわかった。私の目の前にあるこの海を私だけのものにしたくなる

「健太ぁ、すごくきれいだよっ」

お風呂場から出てきた健太に言うと健太もベランダへ来て、柵に手をおき、海を眺めた

「海がオレンジ色だな」

健太の顔もオレンジ色になる。そんな姿がとてもかっこよく見えてしまう。この海の色を一生忘れない・・・またいつかここに来れたらいいな・・・そう思った

「また来たいな」

「えっ?」

私が今、思ったことを健太が言った。偶然だけど同じ気持ちでいてくれたことが何よりも嬉しい

「私もそう思ってたんだ」

「またいつか、二人だけで来たいな」

「うん。そうだね」

あとは何も喋らず、ただ海を眺めていた

「もうそろそろ風呂いいかな」

健太が部屋に入って行き、そのままお風呂場へ行った

「亜美、入れるぞ」

いつものように私を呼び、お風呂へ入る準備をした

「熱いーー」

日に焼けた肌がお湯に入ったため染みた。健太も入らないでいる

「俺もっと染みそう」

「亜美も少し焼けたな」

「日焼け止め塗ったのにだめだった」

「亜美、色白だからすぐに元に戻るんじゃねぇ?」

私の肌を見て、自分の焼けた肌と比べている。さすがに健太の方が真っ赤で私以上に日焼けしていた

「熱いっ」

足からソッと入ったが染みて足をまた出し、そしてまた入れての繰り替えしをし

「よし入る!」

我慢して思いっ切り健太が湯船に入った

「亜美も入れよー」

私の手を無理やり引っ張って、私までもが思いっ切りお湯に入れられた

「染みるー」

ケラケラと健太が笑っていて、

「もぉ、ひどいよっ!!」

健太のうちよりも広いお風呂で私達はじゃれ合って楽しいお風呂の時間を過ごした