やさしい手のひら・前編【完結】

健太に抱っこされたり、後ろから抱きつかれたり、いろいろなポーズを撮らされた。一体、何枚撮るのだろうというぐらいたくさん写真を撮った

「疲れたでしょ。海に入って来てもいいわよ」

そう言われた瞬間、健太に手を引っ張られ、やっとの思いで私達は海に入った

「キャー冷たいっ」

水温に体がまだ慣れず、とても冷たく感じたけど、すぐに冷たさなど忘れてしまい、健太と無我夢中で遊んだ

「亜美、泳いで」

「うん、いいよ。そこにいてよ」

私は泳いで健太の所まで行くと、脇を抱えられ

「よく、ここまで来たな」

ンッ

いきなりキスをされた。苦しくって自分の手を健太の胸に押し付けたけど男の力で逆に手を押さえられてしまい、抵抗出来なくなった

ハアハア

「もぉ、田村さん達見てたじゃん。恥ずかしいよぉ」

「見せびらかしたの」

悪ふざけの健太の頭をポカッと叩いてやった。浜辺では田村さんも鈴木くんも私達を見て笑っていた

ふと下を見た時、足元に小さくて、とても綺麗な色をした魚が泳いでいた

「あっ!見て、魚だよ!なんて言う魚かな?」

「捕まえる?」

「だめだよ。泳いでるんだから。見てるだけでいいからそっとしておこうよ」

私はずっと魚を見ていた

「さあ、ホテルに帰るわよ」

田村さんに呼ばれ、まだいたいのを我慢し、海から上がりまたホテルへ戻ることした