やさしい手のひら・前編【完結】

私達はエレベーターに乗り、1階のロビーに向かった

「こっちよ」

と田村さんが手を振っていた。鈴木くんの胸には立派なカメラがあり大事そうに抱えていた

「よし、外に出よっか」

田村さんの跡について行き外に出た。沖縄の昼間の太陽はとてもギラギラ輝き、ちょっと外にいるだけでも日焼けしそうな気温だった

ホテルからビーチまですぐで、真っ青な海が私の目の前に現れた。今でもすぐ走って海へ入りたい気分だった。地元の子だろうか。親子連れなど人がまばらに泳いでいた

「亜美ちゃん、泳ぎたいでしょ?」

「はい、泳ぎたいです・・」

「もうちょっと待ってね」

「はい」

田村さんと鈴木くんは打ち合わせなのか、仕事の顔になり撮影となる場所を探していた

「よし、これで行きましょ」

そう言い、私達を呼んだ

「まず、健太くんは肩を組んでくれるかな」

健太は田村さんの指示に従い、私の肩に手を回した

「はい、じゃあ、亜美ちゃんは・・・うんと、健太くんに寄り添ってくれる?」

「はい」

私達が動いてる間、すでに鈴木くんはシャッターを何度も押していた

「いい感じね。さて、二人とも水着になってもらおうかな」

ギクッ

とうとうこの時が来てしまった

みんなに背を向け、こっそりと脱ごうとしたら、健太が来て

「俺が脱がしてあげる」

私のTシャツを掴み、上だけを脱がしてくれた。下のショートパンツは自分で脱ぎ、服を畳んで準備ができた

「亜美ちゃん、ほんとに高校生?」

「はい・・そうです」

「こりゃ、健太くんも手離さないわね」

「健太くんに捨てられたら、俺がもらいますよ~」

なんだかおちょくられているのか、私は笑ってしまった

「亜美は俺のですから」

「そうね、鈴木くんみたいのに亜美ちゃんはもったいないわ」

健太が『俺のですから』と言う、言葉にキューンときてしまい、それが嬉しかった