「亜美、大丈夫?」

「えっ?」

「亜美、目が泳いでたよ」

「はぁ?泳いでないよ」

「ふーん」

私、変だったかな?と考えてみた
凌に話しかけられ、頭を撫でられてびっくりしたけど、
自分では普通でいたつもりだった

凌のことは私の中から消えている
私は健太くんといて幸せで他に欲しいものなど何もない


今日は始業式のため午前で学校が終わった

今まで通り健太くんが教室に来ると思っていた・・・

教室のみんなが一人、二人と帰って行き、
最後には私だけが残ってしまった

健太くんの教室へ行けばいいのだけど先輩達の視線が嫌で行けなかった

下駄箱に行き靴を見てこようと廊下を出た
その時、屋上の階段から健太くんが降りてきた

「どこ行ってたの?ずっと待ってたのに来ないし・・・」

「鞄取ってくるから玄関にいて」

「あっ、うん・・」

聞いたことに対して答えてくれず、
なんか元気がないような、
機嫌が悪いような…いつもの健太くんじゃなかった

少しだけ待っていると健太くんが来た

「どうする?帰る?」

「えっ?」

いつもならどっか行こうって言うのに今日は『帰る?』と言われてしまった

「用事あるの?」

と言ったけど私は考え直して

「今日は帰るね」

寂しい気持ちでそう言った

「・・・・」

健太くんは帰りも喋ってくれなかった
何があったのか聞きたいけど、
それが嫌なことだったらと思うと聞けずにいた

家の前まで送ってもらい、いつもならキスをして別れるのに
今日はキスさえもしてくれなかったんだ