「あれ?亜美は」

会場で健太くんは私を探していた

「あっ、健太くん!亜美ね、なんだか体調悪いみたいで。なんか生理って言ってたけど違うような気がして。ライブ中も考え事してたみたいだし。さっきまでいたけど…行くねって帰って行ったよ」

健太くんは周りを探していた


私は一人町を歩いていた。すれ違う人はみんなカップルばかりで自分はなぜ一人なんだろうと孤独を感じた

空を見ると、

「雪……だ」

空を見ている私の頬に冷たい雪が落ちる。そして私の涙も目から落ちた

先ほどから何回か携帯が鳴っていたが、今はもう鳴らなくなった

多分、健太くんは愛さんと会っているんだろう

ただ歩いていると目の前に大きなツリーが立っていた
恋人達が手を繋ぎ、大きなツリーを眺めていた

「あっ…」

どうしてこんな時にいるんだろう
前は悲しい時に偶然にも健太くんがいた
でも今は悲しい時に凌に会ってしまう…

「亜美…」

何か感じているのか、私を悲しい目で見ている

「何でクリスマスに一人なんだよ」

「……」

「なんで川崎さんと一緒じゃないんだよ」

泣くな。泣いたら同情されるだけだから泣くな

自分で自分に言い聞かせた

「これから会うの」

頑張って笑顔を見せた

「なんで嘘つく?俺がわからないと思う?」

優しくしないで。今優しくされたら私…

「時間だから私行かないと…」

バサッ

前を向いて一歩出た瞬間、

「行くな。俺のとこに戻って来い!」

凌は私を強く抱き締めた