「もしもし凌?話があるの。あの公園にいるんだけど会えるかな?」

私は健太くんの前で凌に電話している。自分にけじめをつけるため、自分でそう決めた

「じゃあ、待ってる・・」

電話を切った

「亜美・・無理してるなら戻れ。今なら間に合う。俺に遠慮するな。お前の苦しんでいる姿は見たくない」

「健太くん、私ね・・嫌いで別れた訳じゃない。だからまったく未練がないと言ったら嘘になるの。でももう私達は終わったの。凌が浮気をした時点で私はもう無理だったの。今でも浮気したことは許せない。そんな中で凌と一緒にいてもうまくいかない。だから凌のところには戻らない」

「それってさー亜美だけの気持ちだろ?本郷の気持ちはどうなるのよ。亜美のこと好きで好きで仕方がないんだろ。亜美が逆だったらどうする?追っかけても追っかけても振向いてくれない。どんなに辛いかわかるか?」

「私に戻れっ言うの?また戻って苦しんで泣いて、何かあるたびに思い出して、私それで幸せなの?・・・私はもうそういう思いはしたくないの。私は健太くんが好き・・・」

「おいで・・」

ベンチに座っている健太くんの前まで行った。私の両手を握り、

「俺だって不安だよ。亜美がいつ本郷のとこに戻っていくのかって。いつまで亜美と居られるのかって、不安で不安でしかたねぇ。でも亜美がそれを望むんだったらそれでいい。亜美が幸せならな。でも戻って泣いてばっかりいるなら手放さない」

健太くんはどこまで私を思ってくれるのだろう。自分を犠牲にしてまで私を優先してくれる。自分より私を大切にしてくれる。この人の手を離すことはできない

「健太くんも一緒にいてほしい」

「はあ?」

「見たくないかもしれないけど。私はいてほしい」

健太くんは『うん』と頷いてくれた