やさしい手のひら・前編【完結】

特等席?
みたいな一番前に立たされた
ここはスタンディングらしく、
周りには派手な女の子ばかりで緊張していた

「こんばんは~」

とステージ横からバンドのみんなと出てきた

女の子達がキャーキャー騒いでいる
かなり人気があるらしく、
私はここにいていいものなのか悩んだ

最初の曲はアップテンポの曲だった。女の子達が健太くん達の名前を叫んでいる

1曲、2曲と歌い、ラストの曲となった

ラブソングだ…なんて切なく歌うんだろ
心にジーンとくる
私の目をたまに見て歌う健太くん
ウルウルと目が熱くなってくる
いつの間にか私の頬に涙が落ちる
周りの騒いでいた子達も聞き惚れていた

終わったあとすごい拍手で幕が降りた

私は急いで裏に行った

「健太くーん」

「おう」

「かっこよかった。めちゃくちゃ感動しました」

「そっか、よかった」

「詞は誰が書いてるの?」

「あっ、俺」

「すごい、健太くん」

「何騒いでるんだよ」

照れ臭そうに私の頭を触る

「さー終わったから打ち上げ行くぞ」

「え?私も?」

「用事ある?」

「ないですけど…」

「じゃあ行こう」

私も行くことになった