一人、自宅に向かっている時だった

「また一人?」

「健太くん…」

「また泣いたのか?」

「い、いいえ」

「嘘つかなくていんだよ。聞いて欲しいことがあるなら俺はなんでも聞く。ほら、言ってみろ」

今の私に優しくする健太くんの言葉がとても嬉しくて、誰かに甘えたい。そう思ってしまった

「たぶん、私達だめなんです」

「なんで?」

「浮気してたみたいで」

そう言った瞬間、
私の手を引き健太くんの胸に飛び込ませた

「そんな泣くぐらいなら俺の所に来ればよかったんだ」

「えっ?」

「俺は今でも亜美が好きだよ。亜美が弱っている時に言うのは卑怯かもしれない。お前が幸せならそれでいいって自分に言い聞かせてた。でも亜美泣いてばっかじゃん。俺と会った時はいつも泣いてる。亜美は一人じゃない。俺がいる」

健太くんは私を大切に思っていてくれたんだ
それなのに私は何も気にせず健太くんに送ってもらったりしていたんだ

「亜美が本郷のこと好きなのは知ってる。でも泣いて苦しんで付き合ってて楽しいか?恋愛ってそういうもんじゃないだろ。たまに悩むのはいいけど、亜美いつも悩んでるじゃん」

「今すぐじゃなくてもいい。亜美がすっきりして、俺が必要になった時は俺のとこに来い」

嘘のない目で私にそう言った

「ありがとうございます。私・・凌のことも健太くんのこともちゃんと考えてみます」

「うん、わかった。自分の答えを出せ」

いつも私の背中を押してくれる
そんな健太くんには感謝している

自転車の後ろに乗って、
健太くんに送ってもらった

帰り際、

「頑張れ」

そう言って健太くんは帰って行った