怖い

一人でいるとやっぱりあの日のことを
思い出してしまい、
周りを気にしながら一人で歩いていた

体が震えて急いでいるのに
うまく歩けない
早く家に着きたい気持ちで考えないようにと思い歩いた

「亜美」

「凌?」

そう思い振り向くとそこには健太くんがいた

「一人?」

「は、はい」

声が震えていて、
怖がっていることを健太くんに気づかれた

「怖いのになんで一人なの?本郷は送ってくれないの?」

「あっ・・は、はい。ちょっと」

「けんかでもした?」

そんな優しい言葉を掛けられた瞬間、
涙腺が緩み泣いてしまった

「どうした?」

私の顔を除いて言う

「凌の家にいたんですけど、ちょっとけんかしちゃって」

「喧嘩したからって一人なの?亜美が夜怖いの知らない訳じゃないだろ?」

「昨日までは送ってもらってたんですけど…」

「俺なら喧嘩ぐらいで一人で帰らせない。亜美の気持ち知っているならね」

相変わらず優しい言葉をかけてくれる

「俺が送ってあげる」

「そ、そんないいです。健太くんも用事でここにいたんじゃないんですか?」

「友達んちの帰りだし、亜美とは方向一緒だし」

「ありがとうございます」

私は遠慮しないでお願いした
本当に怖かったので健太くんがいるだけで安心した

「付き合ってどのくらい経つの?」

「来月で一年です」

「長いんだね」

「そうですね。でも最近なんだか考えていることがわからなくて」

「みんなそんなもんだろ。長くいればいるほど嫌な面も見えてくる」

健太くんは穏やかにしゃべってくれていた