恋色語

ジーっと片桐が見てくる。何よ私が強引で拒否権がないとでも!?


「でもやることすること面白そうだからみんなでやって。それを記事にしてたわ。毎日が楽しかった。他にも、以外によく食べて、優しくて、自分よりみんなのことを大切に想ってくれて。

テスト前なのに私たちに勉強教えてくれたのよ?面白い人でしょ?でね、」


高梨さんは私に近づき、私の目線と合うようにかがんだ。そして両手で挟むように、私の頬にそっと当てた。


「絢香さんは…渚ちゃんによく似てる。見間違える程に。でも渚ちゃんは渚ちゃん。絢香さんにも負けない良いところがたくさんあるよ」

「どんな…ところですか…?」

「人をとことん信じるとこ。何でも挑戦してみるとこ。でもそれはよく考えて、良い悪いが分かった上で行動してるとこ。物事を最後までやり遂げるとこ。

その良いところが全て…優しさからきてるとこ」


あ…。不安が消えてく。絢香さんを見た時からずっと残ってた。片桐とどう話そうかと何度悩んだかなんて分からない。

でも、絢香さんと私は違う。自分に言い聞かせてたことを、初めて誰かに言ってもらえた。それだけで嬉しくて、救われた気がした。そして、片桐に会うと生まれる罪悪感がいくらか消えていった。