恋色語

「行くってどこへ」

「いいとこ。着いてからのお楽しみ。
いいから立って黙ってついてきなさい」


笑っても泣いてもしない。今の片桐と向き合って、そう思った。
きっかけがほしい。片桐が過去を振りきれるだけのきっかけが。

………………………

片桐の手を引っ張って来たのは新聞部の部室だった。鍵を開けて中に入る。


「誰もいないみたいだからそこに座ってて」


私は奥にある戸棚を開け、あるものを探し出す。………あった。歴代新聞部のアルバム。
記事を作るだけあって写真はほとんど保管してる。予想通りだった。

その中から数ヶ月前のアルバムを取り出した。それを片桐が待つ机に置き、私も向かい側に座った。


「あのね、この中に当時の絢香さんがいます。あなたは……見ますか?」