恋色語

片桐をもっと見たい。もっと知りたい。
もっと…一緒に学校生活を楽しみたい。
たったそれだけなのに。それを手放すだけなのに…譲りたくない私がいる。

思い返せば最初に出会った時そうだった。
あの桜舞う公園の時だってそう。そして冷たく突き放された時も。

なぜだかは分からない。だけど一つだけ分かることがある。
私の胸は…ドキドキを止めません。


「ねえ、強くなろ。私が望むことはね、片桐と離れたくないってことだけ」

「…知るか」

「知って。お願い」


それからは無言が続いた。
片桐が何を考えてるかは分からない。ただ、今はそうした方が良いと思った。
そのまましばらくして…


「ねえ、片桐は自分のこと好き?」


私は長い静寂を破った。


「嫌いに決まってるだろ。人の人生変えたんだぞ。残酷なまでに」

「ありがと。確信が持てた。お願い…自分のこと…好きになって」