恋色語

髪は長かった。ただ、私とはっきり違うのはそれだけ。容姿は瓜二つで、知らない人が見たら間違うくらい似ていた。


「どう…なってるの。片ぎっ…怜」


あいつの名を口にしても何もならない。絢香さんを見て、どんな状態か分かった。

私が来ても起きないし、それどころかピクリとも動かない。でも息はしてる。きっとこの人の容態って…




植物状態。




「遷延性意識障害…重度の昏睡状態を指すこ…と」


私と同じ容姿の人が片桐のお姉さんで…それで昏睡状態で…

それで私は毎日あいつと会って…会う度に悲しい顔して…それでそれで私は…




私の笑顔で、
片桐は、
お姉さんを、
思い出して、
悲しい顔してたのは、
私が彼を苦しめてた、
……?


「あ…ああ」


片桐に会ったらいけないって言われた意味が分かった。今更分かってしまった。


一筋の涙が…頬を伝った。