恋色語

風が吹き髪が揺れる。時間が止まったかのような静寂が訪れた。


「………」

「言いにくいのは分かってるつもり。けど納得できないの。

私はそれを知っても片桐の事嫌いにならないから。…信じて」


片桐がジッと見てくる。視線を合わせ、私も目を見続けるようにした。

もう私の意志は変わらない。何があっても受け止めるから。


「…お願い」

「……合病院」


え…。今何て。


「清林総合病院307号室。そこに行けば分かる」

「…ありがとう、話してくれて」


片桐は私に背を向けて空を見上げた。哀しそうに、ゆっくりと。


「それと」


梯子で降りている時…


「俺は、お前が旭だから言った。…旭 渚という変なやつだから言ったから」


そう言われた。そして屋上から出る寸前、


「変なやつで悪かったね。ふふっ」


と少し笑って言い返してやった。