恋色語

急いで傘を広げ、片桐が濡れないようにした。


「回りくどいのは嫌だから率直に言うけど。もう…私に近づかないんじゃなかったの?」

「…結果的には、旭の言う通りにしたんだよ」


はい?私の言う通りに?


「だから、自分の世界に閉じこもるのをやめただけだ。

そんな言葉…言ってただろ」


あ…覚えててくれたんだ。屋上で私が言った言葉…。

そうか。片桐なりに行動してくれて。心を少しでも開いてくれたんだ。


「もういいだろ。所詮は俺の独断なんだ。旭からしたら迷惑だよな、こんなの。

…帰る」

「違う…違うの」


傘から出ようとした、片桐の行く手を塞ぐ。

そして鞄を脇に挟み、空いた手で握手した。


「確かに屋上で私達は嫌いあった。でも今、こうして握手してる。

仲直りしようよ。私は許してあげるから。片桐は?」

「いいのか?俺ひどい事言って…」

「今の気持ち教えて。反省してるかどうか」